《MUMEI》

「あいつ…、あんなにシュート鋭かったっけ?」


「いや…、あんなにいいコースに決まったのは初めて見た。」


「何があったんすかね?」


「あいつも、ストレスがたまってたってことじゃない?」


「ストレス?」


「勝ってるとはいえ、ほとんどの得点はポストサイドだからね。」


「あ〜、そういえば…」


「イライラしてもしょうがないわな。」


(前半に得点を重ねたのがポストサイドだったことが、逆に良かったってことかな?)


ポストサイドが前半の得点のほとんどであったことで生まれた利点は、それだけではなかった。


(あの45…、あんなに鋭いシュートを打ってくるなんて…。)


前半情報収集を1つの目的として攻めていた西条。


45の情報を取ることができていなかった。


しかも、サイドが得点を取るように仕向けたのは自分たち自身。


完璧星野の誤算であった。


「1本取るぞ!!」


西条ボール。


さっきと同じように、仕掛けて来たのは立川だった。


今度はクロスからのロングシュート。


(まぁまぁのスピードじゃん。)


「バシッ!!」


村木が止める。


しかし、速攻は出せなかった。


弾くので精一杯だったからだ。


「オッケー!!ゆっくりでいいです。1本行きましょう!!」

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