《MUMEI》
やはり母は女
その後の日記にはがむしゃらに働く母の姿しかみえなかった。再婚もしないで、三人を育ててくれた。  私の日記は恋をしてからは好きな人のことばかりであとは愚痴ばかり、母の日記はなんか綺麗な感じがする。
一度父がよりを戻したいと願ったらしい、一緒には住めないからと、住みかは違うが、つきあいをしていたようだ。はっきりとは当時わからなかったが高校生の私に言ったことがある。
「私、妊娠したかも、生理こなくて。つきあってるひといるし。」
それが母の唐突な一言。私のトラウマ。母が女なんて信じられないし、きっと、その時に女である母を封印してしまった私かもしれない。
日記にはそれが父であることと、妊娠はしていなかった事が書いてあった。その後も父とはまた別れ、酒やたばこを覚え、死に至る母がいる。日記の母と私の知る母とは別人で、でも、日々変わっていく父や母がしっかりと記してあった。まさか、天国で娘に読まれるなんてさぞや、ビックリしているだろう。まだ、読んでいるのは私一人だが、残り二人は即読み出すだろう。 
  恥ずかしいね、おかあさん………

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