《MUMEI》
オイミ〜ネ
私は非常に腹ぺこだった。長旅で疲れた体は、重く両膝にのしかかる。

「腹ぁへったなぁ。」
右腕で額の汗を拭い、辺りを見渡す。夕日を背に目的地である炭鉱、抗夫の町を見つめた。

あと30分の辛抱だな。

その間にも空腹は襲い、昼飯での不運を思い出した。

昼飯時はぽかぽか陽気で、私は気分良く前の町を散策していた。
通り掛かった橋の上で、鯉でも見ながら昼飯を食べようと決め、握り飯の包みを開いた。
その時だ。飯を狙ったか、背後から犬が大きな声で吠えた。
「ワン!!」

慌てた私の手から滑り落ちた握り飯は、あっと言う間に川底へ消えていった。
「ころころ〜ぽっゃん!だろ。」
と誰も居ないが身振り手振りで訴える。

--コロコロ?--

ん?何か聞こえたがそれどころじゃない。

落とした握り飯を思い出し、さらに私は腹が減った。
「腹へったなぁ〜。」
と再び呟く。

--へった?コロコロはおなかが空いてるの?--

今度は、はっきりと声が聞こえた。

--おなかが空いたらナムの店♪オイミ〜オイミ〜カレーが有るよぉ?--

見回す、がいない。
何処だ。

その時、男は何を思ったか頭を大きく振った。ブン!!
「キャワァ!(◎o◯;)」

見回しても誰もいないなら、そこしかないだろうと頭を強く振った。案の定ちっこい生物が頭の上で、かわいらしい声と共に落っこちてきたけど。

いつの間に。

痛いぃ酷いぃなどと呟きながら起き上がり、私の視線に気がついた。小動物はちょっと考えて、落ち着き払い深々と頭を下げた。



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