《MUMEI》

夏海は朝早く起きてから、〈夏休みの友〉と、友達にも、仲良くも絶対したくないような夏休みの宿題をこなす。1日1ページやれば、40日もある夏休み中には終わる仕組みになっている、それは、国語と算数の二教科のみの冊子だ。
チョコレートを食べたあと、なぜか、塩辛いもの食べたくなるように、ポテチを食べてしまうが、国語ばかりやると算数もやりたくなってしまう、食べ物の関係と同じだなぁと、母がだしてくれた、甘いスイカをいただく。〈夏休みの友〉だけが宿題ではない。  
毎年、くだらないと思うが、手作り貯金箱を作るのだ。苦手だ、仕掛けを考えて、小銭を楽しく貯めるように図画工作からの宿題だ。「いくら、毎年、夏休みに貯金箱作ったって、おこずかいなんて、もらわないし、あたしには必要ないじゃん。」
それでも、学校側では毎年作らせる。苦痛だ。
理科からの宿題もある。
実験か、研究、何でもいいから決めてやることだ。大半の友達は、毎日の天気をチェックして、晴れはどのくらいの割合かなど調べている。そんなのは、くだらい。晴れだろうが雨だろうが、興味なし。でも、遊びたいから多少は気になるけど。夏休みがおわる頃、親たちは忙しくなる、理科の宿題をやらない我が子の為に、蓄めておいた新聞から天気を調べてあげるのだ。夏海もいつだったか、母親に迷惑かけた夏があったのだ。
それ以来、虫の好きな夏海は、〈蟻の巣の仕組み〉とか、〈青虫が蝶になるまでとか、〈とかげの尻尾はどこで切れるか〉とか、難しそうな題材にしては簡単なモノばかりやるようになった。
蟻は巣ごとできるかぎりごっそり、取り去って、小さめの虫入れにいれておくだけ。
蝶も、みかんの木からたまごをみつけて、蝶になるまで見守るだけ。
とかげは見つけてはしっぽを切り、長さを調べるだけ。夏海にとっては簡単なことなのだ。
体育の宿題ある。その日にどのくらい泳いだかを、これまた、〈夏休み中の日記〉とやらに、記入することだ、証拠がのこらないから、適当に泳いだで、けりがつく。

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