《MUMEI》
夏休み
一年のうちでもっとも短い夏だから、夏を満喫したいと思うのは、やはり、小学生。
両親共働きが増えてきている世の中なので、親同伴で海には行けない。
由佳のお母さんは専業主婦なねで、毎年由佳母ににつれられ、夏海は海へ出かける。由佳は夏海の親友である。親友という 言葉を使っていいものか悩むが、対した意味がないので友達イコール親友にしておこう。「夏友、どうよ、何ページまでやったぁ?」
「国語終わった!」
夏海の問いにさらっと、由佳が答える。由佳は算数が苦手なのだ。夏海は国語も算数も半分ぐらい終わったと、うそをつく。うそではないのだか、わからないところは空欄にしたままなので、やってないのと同じだ。国語は由佳にあとでみせてもらい埋める。算数は、千明にでも写させてもらえばいいと思う。
「あと、何回海にはこれるかなぁ?中学になったら、水着新しくしようね、いやだよ、海でもスクール水着なんてさぁ」
夏海も共感する。由佳母にお昼までごちそうになる。クーラーBOXに沢山のおにぎりがあるのだ。    「毎年、お米、なっちゃんのお母さんからいただくのよ。新潟の親戚から頂くんだってね、おいしいわよね。お礼はいつもいいのよって。おばさん、由佳となっちゃんを海につれてきてあげることしか、出来ないけど。あと、おにぎり。」
そう、由佳のおかあさんは、お米のお礼だと言わんばかりに優しくしてくれる。おっとりしていて、日傘が似合う由佳のお母さん。夏海ももちろん、由佳も、そんな穏やかな由佳母が、大好きだった。
夏海の母は、穏やかではないが、お菓子の工場で働く、元気だけがある母だった。父も同じでサラリーマンで元気だけの父。もちろん、夏海も由佳も夏海の両親が好きだった。
おにぎりを食べながら、同級生の悪口言ったり、男子の夏でもアオッパナだしてる子をけなしたり、自分はかわいいと勘違い女の顔をけなしまくって高笑いを二人はするのだった。

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