《MUMEI》

◆◇◆

「寒いか」

「いや」

 単調な会話。

 夜桜と狐叉は、ちらちらと舞う粉雪を眺めていた。

「狐叉」

「‥‥?」

「春になったら‥‥また咲くと思うか」

「桜か‥?」

「ああ」

「その時も‥‥お前と居られたらいいのにな‥」

「そうだな‥‥‥」

 狐叉は目を細め、灰色の空を見上げた。

 そこからは止めどなく、白い花弁が舞い降りてくる。

◆◇◆

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