《MUMEI》 おにぎりを頬張ったら、少し休憩しないと海には入れない。酒を飲んだら入れないのと同じだ。子供にとって。 白いサンドレスと白い日傘の中で汗もあまりかいてない、由佳母とは違い、夏海と由佳は真っ黒の肌に、汗と塩でベトベトである。流したいので、おばさんの注意も聞かずにサンダルで、ゴロゴロ石の海岸を波打ち際ぎりぎりまで、走る。 「うわ!きもちいいっ!」「冷たいかも 水!」 二人のケラケラ声が、波の音の合間に現れる。もちろん、太陽の照りつけるジリジリの音も聞こえる。 何百人この海には人がいるだろう、海辺がつながる風景は、遠くまでカラフルなパラソルやら水着をきた人が蟻のように群がっていた。 由佳母は、まるでどこかのお嬢様のように、広げたビニルゴザの上に座り、夏海と由佳をながめてた。 「ゆかのおばちゃん、きれいだよね、うちの親なんて、ばかみたいでさ、白い服に白い傘なんか無縁だし」由佳もも同じで、あの白い服に白い日傘って、憧れちゃうらしい。テレビドラマでは、おばちゃん役や病弱な人に付き物のようだが。由佳母は健康である。 夏の海はとにかくうるさい、波の音も、太陽の暑さも、蝉の鳴く音も、それぞれの家庭の親も。 「宿題、涼しい朝のうちにやりなさい!」 と。 毎日海やプールや、おにぎりでは終わらない。また、今年の夏も、親からげんこつを頂くとは二人とも、思わなかった。 事件は二日後に起きる。 事件らしい事件ではないけれどャャ 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |