《MUMEI》

◆◇◆

「そこに居たのか」

「ああ‥すまん」

「風邪を引くぞ」

「‥?」

「中に居た方がいい」

「ああ、分かった‥」

 夜桜は狐叉を抱いていた為寒さは感じなかったが、彩貴がその場を離れようとしないので邸の中に戻った。

 格子を上げると、まだ雪がちらついているのが見える。

「姫ー」

「何をして遊んでいたんだ‥?」

「池ー」

「池‥?」

「ああ、凄いんだぞー?」

「水面が凍っててなー」

「滑って来たー」

 そうか、と答え、夜桜は妖達が頭に被っている雪を優しく払ってやった。

◆◇◆

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