《MUMEI》
天兎ラビ
カイトは 部屋に着くと 兎を そっとベッドに 降ろした。


傷の手当てを 済まし、空き箱に タオルを敷き、兎を寝せた。


その間 兎は ピクリとも 動かなかった。


「大丈夫なのかな?」カイトは 心配して 覗き込んだ。


兎は 赤い目を 開いて カイトを 見つめた。

そして ピィ と鼻を鳴らし 目を閉じ顔を伏せた。


…とりあえず 様子を見るか。


数日後、元気になった兎がいた。


「良かったな、お前。明日 森に 連れて行くからな。帰りたいだろ、家に。」


兎は ピィ と鳴いた。カイトは 嬉しそうに 笑った。


その夜…


「ピィピィピィ…!!」
カイトは 兎の鳴き声で 目が覚めた。


「なんだ?」


兎は 背中から出た羽根に 身体を包み込み 次の瞬間、羽根が 開き 女の子の姿になった。


「…??」


「私は 天兎(あまうさぎ)名前は ラビ。カイト 助けてくれて ありがとう。」


白髪(はくはつ)で 赤い瞳の 少女は 笑顔で そう言った。

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