《MUMEI》

「あれ?二人はどこだろ?、おばちゃんも、いないや。」
やっと、雨の音で目を覚ました千明。
誰もいない、由佳の家。なんだか、ワクワクしてくる、悪いことしてないのに、悪いことしている気持ちになるのはなぜだろう。  千明はウロウロしはじめる。   タバコ発見   由佳のおじちゃんが吸うであろう、セブンスターを発見する。タバコ柄の星の数を数えはじめるが、あきてしまう。何も考えずに、タバコに火を点ける。   「たしか、吸うんだよね、そして吐き出す。」   そう独り言を言いながら、挑戦する。
ゲホゲホとならずにちゃんと、肺まで煙を入れられた。頭が気持ち悪くなったので消して、水にもつけて、消火。トイレに行ってペーパーを巻いて流した。証拠隠滅。  一本減ってしまったが、気付かないだろうと自信を持って、雨の外を眺める。
〈おばちゃんと、夏海と由佳はどこへ行ったんだ?私だけおいてってさぁ。〉 そこへ、由佳の母が帰宅してきた、一人で夕飯の買い出しに行っていたらしい。「雨すごくなってきたから、かえって来ちゃった。でも、買い物できたからよかったわ。少し濡れたけど。あれ?二人は?いないの?ちーちゃん?」
「千明が起きたらいなかったよ、おばちゃんもいないから、びっくりしたよ。」二人がいないのに、二人はおどろき、少しだけ心配になる。雨と雷が激しくなってきたからだ。     おばちゃんがかき氷を作ってくれるというので、いちごの練乳を注文した。タバコで口がまずかった、口をさっぱりさせた、千明だった。〈やっぱり、タバコより、練乳がけだな〉   自分の肺に煙を入れてしまったことを少しだけ後悔して、この小さな事件を煙と一緒に肺にしまい込んだ。しまい込んだ後、二人がどこでどうしてるか、気になりだした。〈もしかして、私と同じ小さな事件をおこしてるか?〉と。    おばちゃんも、少しだけ落ち着かない様子だった。

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