《MUMEI》 モヤモヤ〜麗羅視点〜 私は、無意識に歩の手を振り払っていた。 「中原くん大丈夫!?」 歩と一緒に居た女の子が歩に駆け寄る。 歩の手を払ってしまった罪悪感も、一瞬で黒いモヤモヤした気持ちに変わっていく。 その女の子は、心配そうに歩の手に触れる。 「大丈夫だよ。小湊さん」 歩は寂しそうな笑顔を浮かべ、その女の子――小湊から手を離した。 そんな笑顔が見たい訳じゃないのに・・・。 「れい「真星行こっ!」 歩の声を遮って真星の腕をつかんで歩き出す。 歩は、もう何も言わなかった。 「中原くん・・・」 後ろで小湊が歩に話しかける声が聞こえる。 自分が拒絶したのに、歩が今朝のように引き止めてくれないことを悲しいと思うなんて・・・ 歩の傷付いた顔なんて見たくないのに・・・・・傷つけているのは私。 矛盾した想いが胸の中で交差する。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |