《MUMEI》
すれ違い
   〜歩視点〜


麗羅チャンに払われた手よりも心の方が痛かった。


麗羅チャンの笑顔を守りたいだけなのに――。


一緒に居たいだけなのにそれさえも叶わない。


何も言えない自分が情けなくて、俺を振り払った手で北川 真星を選ぶ麗羅チャンが理解出来なくて・・・・・


自分がどうしたらいいのか――自分がどうしたいのかさえも見えなくなる。


一緒に居たい・・・・・そう思うのは嘘じゃない。


でも一緒に居て傷付けてしまうなら、麗羅チャンが俺じゃなくて他の奴と一緒に居たいと望むなら・・・。


「中原くん・・・・・?」


俺が出口のない迷路から抜け出せないでいると小湊さんが俺に声をかけた。


「あっごめん。変なとこ見せちゃったね・・・」


俺は精一杯の笑顔を向ける。


小湊さんは一瞬悲しそうな顔をして


「辛いなら笑わなくていいよ」っと言った。


その言葉にちょっと泣きそうになってしまった。


正直、今は笑える気分なんかじゃなかった。


麗羅チャンの言葉や行動を軽く流せる程、俺はできた人間じゃないから。


「サンキュ」


俺はただ一言、小湊さんに伝えた。

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