《MUMEI》
事件かな?
雨にうたれながらまだ、二人はセミ取りだ。虫かごで、死んでしまってるセミもいる。圧死だろう。こんなにセミの命を無駄にしなくてもいいのに。でも、子供だから虫の小さな命の重みはわからない。
「そろそろ、かえろ!」 由佳の言葉にうなづく。二人はパンツまで濡れてしまった。サンドレスが水着へとかわってしまった。  帰り道、昼間プール行ったからそれと同じだ!雨にうたれてスキップで帰路につく。
「ただいまぁ」     二人ののかっこうに千明もおばさんも驚いた。たかが虫取りなのに、おばさんは、夏海の母に電話をしてしまったらしい。〈小6、女子、二名、とつじょ、消える 行方不明。誘拐か?神隠しか?〉二人の母親の頭の中はこんな感じだろう。     二人で冷えてしまった体を温めるために風呂に入った。千明は呑気だった、帰宅してきて、理由を知ったから安心したみたいだ。理科の宿題だから。
電話口では由佳のおばさんが夏海の親と電話をしているようだった。少しだけ笑う声も聞こえる、馬鹿馬鹿しくなったのだろう、大げさすぎて。
おばさんは、二人にいちごの練乳がけかき氷を作ってくれた。ついでに再度、千明にも。食べながら、夏海と由佳はお礼と、ごめんなさいを同時に口にした。千明も肺のなかで、ごめんなさいをはいた。

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