《MUMEI》

「はぁ〜、今日も疲れたな…。」


「レギュラー組は今から試合っすもんね、大変ですね。」


「ま、俺はレギュラーって言っても試合には出ないけどな。」


「いや、わかんないすよ〜?」


(気を使われると余計に傷つく。誰がどう見てもわかんだろ。)


『俺に出番はない。』


「阿久津!!ミーティング!!」


「あ、今行きます!!」


阿久津栄二。


聖龍高校2年。


クロたちの同期生でチームメイトであった阿久津の弟。


兄と同じく、ポジションはポスト。


赤高の試合のオファーが通ったのは彼のおかげである。


「今日は秀皇大付属との試合だが…」


監督の話が始まった。


(秀皇大付属…強豪だな。絶対出番ないわ。)


聖龍高校は県内トップのチーム。


高総体を連覇している。


しかし、春の大会である市民体の優勝経験は秀皇大付属と分けあっていた。


今年もこの2高のどちらかが優勝だろうと考えられている。


つまり事実上の決勝戦を練習試合でやろうというのだ。


(俺なんかが出れるわけね〜。)


「スタメンはいつも通りだが、いつでも出れるようにしとけよ。」


「はい!!」


(俺にも二ノ宮や桜井みたいな才能があったらな…)

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫