《MUMEI》

「ピーッ!!」


聖龍高校と秀皇大付属高校との試合が始まった。


両チームを引っくるめても、二ノ宮と桜井はレベルが高い。


特に二ノ宮は凄い。


シュート力、突破力。


高校生で二ノ宮に勝てる者はいないかもしれない。


(やっぱすげ〜なぁ…。)


そんな二ノ宮を、ベンチから見ている阿久津。


自分は出れない。


頭ではそう考えていながらも、


『俺もコートに立ちたい。』


そう思っていた。


「ディフェンス!!カバーだ!!」


二ノ宮を徹底的にマークしはじめた秀皇。


(甘いね。)


1人を強化して守れば、当然穴も空く。


そのスペースを、


桜井は見逃さない。


「ナイッシュー!!」


力で強引に突破していく二ノ宮に対し、スピードを武器に空いたスペースへ素早く切り込む桜井。


秀皇大付属高校もこの2人を注意して守っていたが、他のポジションの選手も油断ならない。


しかし、秀皇も負けていない。


切れのあるフェイントやパスから、確実にシュートを決めてくる。


レベルの高いチームならではの攻防が続く。


前半終了時。


17対15。


かろうじて聖龍がリードする展開だった。

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