《MUMEI》

ネコの目は見えなかった筈なのに、事故の後いなくなってしまったこと。


同じ場所で2回同じと思われるネコをみたこと。


…入れ替わりに、何らかの形でそのネコが関わってるんじゃないか、ってこと。



おれが話し終えると、センセーは考え込むように黙った後、



「…そうねえ…難しいけど、もしかしたらってこともあるわね」



と、呟いた。



「―…その線でも調べてみた方がいいと思うわ。
奇怪な事件は、奇怪なことが原因なのよ」


「わかりました。―…ありがとーございました!」



おれが席を立とうとすると、



「ちょっと待って!!」



センセーがおれを引き止めた。



「…なんすか…??」


「…訊きたいこと、それだけじゃない筈よ??」



―…なんで分かんだ!?



「…だから、だてに養護教諭やってないっていったじゃない。
―…どうしたの??」



全部見透かされてるみてえだ。



「…なんか、変なんすよ」



おれは、観念して切り出した。



「なんか、体とか頭に異変が起きてるみたいで―…」


「…例えば??」


「いきなり動悸がしたり、下腹の辺りが痛くなったり…」


「それはどういうとき??」


「え??どういうときって―…」


「さっきは??そういうのなかった??」


「―…あ、あった。飯食う前とか」


「―…そう」



そう言うと、センセーは少し笑って、



「…心配することないわ。それは誰でもあることだから。
―…原因も、そのうち分かるようになるわ」



そう言い切った。



「…??はあ…」


「わかったら、さっさと戻りなさい!
―…がんばってね♪」



意味深な笑みを浮かべたセンセーに見送られながら、おれは保健室を出た。


…謎は残りまくりだけど…


―…まあ、保健のセンセーが『心配ない』ってゆーなら、心配ないんだろ!!!



自分をそう納得させて、おれは教室へと向かった。

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