《MUMEI》

「さすが秀皇だな…。」


「だね〜、最近ずっと大学との試合ばっかだったけど、やっぱ強いわ。」


(俺も出たいな…。)


「集合!!」


「はい!!」


ハーフタイム。


後半が始まる前のミーティングだ。


「戻りがおせ〜ぞ。リスタートだけやってりゃいいと思うな。」


赤高戦ではほとんど動かなかった監督も、やはり秀皇相手だと本気だ。


「とりあえずそんなとこだ。何かある奴いるか?」


ミーティングの終わりに、監督はいつもこうやって選手たちの意見を聞く。


「あ、いいすか?」


桜井が手を上げる。


「何だ?」


「俺、ポストの位置が良ければもっとパスやる自信あるんすけど?」


「あ?俺の位置悪いってのかよ?」


「そ〜だよ。実際ほとんど点に絡んでね〜だろ〜が。この下手くそ!!」


(うわ…、もっと言い方あるだろ…。)


桜井は上手い。


だけど、天狗になってるのは俺からでもわかる。


立場的に俺はそんなこと絶対言えないけど。


「俺も桜井と同じ意見だ。」


二ノ宮が口を開く。


「向こうが俺と桜井を抑えに来てるのは明らかなんだから、別のポジションで点取れるっていうならそれに越したことないだろ。」


「…」


しばらく考えた監督が口を開く。


「桜井。」


「はい?」


「パス通す自信あんだな?」


「もち。」


「そうか…。わかった。」


「?」


「阿久津。後半行くぞ。」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫