《MUMEI》
ももたの彼女。
『ももたーー!!』




『なんや!何事やねん?』




『なんや…じゃないよ!
祭りの実行委員なんて聞いてない!!
どうゆうこと!?』




『あぁ〜それか?
町会長さんから連絡きたんか?そやねん!!
実行委員、頼まれてしもてんな〜。…で、もう一人探してる言うてて、
誰かおらんか?って聞かれたからお前を推薦しといたれ…思て(笑)!』




『…何でそうなるの?
何で私なのよ〜?』




『しゃ〜ないやんけ!
町会長さん困ってたし…
俺、知り合いお前しかおらんもん。……(笑)。』




そう言って、ニタッと笑った、ももた。




『…ねぇ、ももた?
あんた、まだなんか隠してるでしょ!?』




『…何でバレてん!?
けったいやな〜。んー。
白状すると、実行委員したら、俺の店の屋台を出してええって言われてな〜!
取引成立や!こりゃ!!
やるしかないやろ?
ほんまは屋台出すんに、一年前から申請せなアカンかったらしいで〜!
そやのに、町会長さんはええ人やわ〜!』




満面の笑みで話している、ももたを見て、心なしかイラッとしてしまった…。




『…ももた。
あんたきっと…
町会長に騙されてるよ。』




『え?…何でや!?』




こんな小さな町内の祭りで、屋台を出すのに申請なんているわけないじゃん…。きっと、みんな勝手に
フリマとかしてるよ…。




『…はぁ〜。
私も一応、引き受けちゃったわけだしゴチャゴチャ言ってもしょうがないね。
真面目に頑張るよ…。』




『そやそやっ!
おおきに!その意気で、きばってや。』




…その日の夕食中。
一連の流れを吉沢さんに話したら笑われた。




『ももたくんって本当、面白いな〜。子供のまま大人になったって感じ。
俺も、嫁の出産近くてこれから日曜は必ず、嫁のところに行くし…会えないもんな。咲良も頑張れよ。』




『…うん。そだね。
あのさ………。
…奥さんの出産予定日っていつだっけ?』




『……来月。』




『…そっか。
もう来月か…。早いね。』




…吉沢さんの
奥さんの出産の日で、

…吉沢さんの
赤ちゃんの誕生日は、

…吉沢さんと私の
………………別れの日。




気が付けば、もう来月に迫ってたんだ…。




次の日曜日―




吉沢さんは、いつものように奥さんの元へ帰っていった…。




“祭りの会議”まで、ももたは仕事だし、私、やっぱり暇じゃん……。




コンビニでお昼を買って帰ると、私の部屋の前に、キレイな女の人がポツンと、立っていた…。




派手な服装の彼女は、今にも泣きだしそうな顔で、空を眺めている…。




『…あの〜?』




『…あっ?すいません。
怪しいもんとちゃいます。私は、ここに住んではる五十嵐さんの知り合いのサキっていいます。』




“…ももたの知り合い?
関西弁…。サキさん…。
キレイな女性…。”




『もしかして彼女!?』




『…あっ…はい。』




やっぱりこの女性は、ももたの彼女だった…。




『はじめまして!
私、五十嵐くん部屋の隣に住んでる百瀬咲良です。
実は私…五十嵐くんとは同級生で、ここで偶然再会したんですよ。
良かったら、私の家で五十嵐くん待ってたら、どうですか?』




『…いいんですか?』




『もちろん!!』




こうして、ももたの彼女と初対面を果たした…。




どうして、あんなに切ない顔で空を見上げていたのか……。
彼女に何があったの?

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