《MUMEI》

「あ!葵ちゃん。おはよう。」
教室に端で仲良く話をしている男女4人。
その内の1人、美香が葵に気づいた。
「寝坊しちゃった。」
照れたように笑って葵が返事すると、美香の隣に居た優香が、葵に抱きついて来た。
「葵が居ないから心配したよー!」
葵はその拍子に後ろに転びそうになった。
「優香元気過ぎ!」
なんとか姿勢を取り直して優香を受け止めると集まりの方に向かう。
集まりの中に入ると、話題は昨日の射殺事件の話題だった。
「私達も油断出来ないね!いつ撃たれてもいいように、防弾の服着なきゃ。」
そう熱くかたる美香。
「それより、いつでもよけれる機敏さが必要だよ!」
優香が対抗する。
「もうちょっと現実的な対策は無いのかよ。」
横に居た啓太がすかさず突っ込む。
「双子なのに考えはバラバラだな!」
笑いながら和樹も言う。
「ねぇねぇ!葵ちゃんはどうやって生き延びる?」
机にカバンを掛けていた葵に、美香がいきなり質問する。
「殺される前に殺してやるかな?」
そう言った葵の笑顔が、どこか冷たく見えた。

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