《MUMEI》 (だから嫌だったのに) 私は真っ赤になってうつ向いていた。 すれ違う人々に冷やかされながら、私達はやっと目的地の、『白石肉屋』に到着した。 「いらっしゃい」 いつも通りの挨拶をする圭介さんに 「…俊彦、お前顔、緩みすぎ」 呆れた口調の祐介さんが私達に話しかけてきた。 「どうもどうも!」 俊彦は、そんな二人に笑顔で挨拶した。 (あれ?) 「圭介さん、由香利さんは?」 私は、いつもコロッケを揚げている由香利さんの姿が無い事に気付いた。 「おめでたらしいよ」 「「え!」」 祐介さんの言葉に、私と俊彦は驚いた。 「最近、コロッケ揚げてて『気持ち悪い』って言っててね… 今日病院行って確認したら、どうやら、そうみたいだったんだ」 圭介さんは照れながら報告した。 「おめでとうございます」 「ありがとう。一応和馬君達が新婚旅行から帰ってきたら皆に報告するつもりだから…」 「はい、わかりました」 「俊彦も、騒ぐなよ」 「わかってるよ。去年の結婚ラッシュに続いて、これからは妊娠・出産ラッシュかな〜」 「そういうお前らは、どうなわけ?」 前へ |次へ |
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