《MUMEI》

(え?)


「な、何だよお前ら!?」

珍しく、春樹さんと瞳さんが必死で止めたので、私と俊彦は戸惑った。


「すまない、俊彦君。もう少ししたら返すと思うから」


「は? はぁ…?」


(どういう事?)


普段控えめな冬樹さんが俊彦に頭を下げたので、私と俊彦は、ますます戸惑った。


すると、夏樹さんは勝ち誇ったように


「そうよ!妊婦は大事にしなさい!」


と言った。





「「妊婦!?」」


私と俊彦は、同時に夏樹さんのスレンダーな体を見つめて叫んだ。


「まだ二ヶ月だからね」


「い、いつわかったんですか?」


「さっきトイレで調べたら」


「「さっき!?」」


再び同時に驚く私と俊彦を見て、夏樹さんは豪快に笑った。


「だから、私の出産の時も手伝ってね。
かわりに蝶子の時は手伝ってあげるから」


「え?」


抱きしめながら、耳元で囁かれて、私は思わず顔を上げた。


「可愛い上目づかいしないの…チューしたくなるでしょ」


「へ?」


夏樹さんの顔が近付く。


「う〜わ〜!」


バリッ!


俊彦が慌てて私と夏樹さんを引き離した。


「…冗談よ」


「あやしい」

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