《MUMEI》

「…ですね」


その様子を見ていた華江さんと俊彦のやりとりに…


(本当に)


私も、同感だった。


私は、友君と一緒に何とか父をなだめた。


実家にいる間、私は華江さんと友君と一緒に寝た。


俊彦は、居間に用意された布団で寝る事になった。


当然、俊彦は不満を訴えたが、父が『この家では絶対許さん!』と怒鳴った。


それでも諦めきれない俊彦は、夜中に何度か私の元へ行こうとして


その度に父に居間まで連れ戻されていた。


その結果…


一月二日に東京駅に着いた俊彦の目にはくっきりとクマが出来ていた。


当然のように孝太は呆れ


麗子さんは大爆笑していた。


「…出来ないってわかってたでしょう?」


私は新幹線に乗った途端寄りかかってきた俊彦に、小声で話しかけた。


「わかってたって、駄目なんだよ…」


(そんなとこまで父さんそっくりなんだから…)


私は呆れながら、俊彦の頭を撫でた。


すぐに、俊彦は深い眠りについた。


そして、商店街に戻った私は、翌日、引越しを行った。

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