《MUMEI》 私達が見守る中、成瀬さんは笑顔で告げた。 「結婚おめでとうございます、相田先生」 ーと。 成瀬さんー成瀬香織(かおり)さんは、相田さんの教え子だったのだ。 「実は、香織とはもう三年付き合ってるんだ。だから、香織が来月卒業したら、結婚する」 有理さんの言葉に愛理さんと相田さんは更に驚いた。 …もちろん、私達も。 そして、更に驚く事実がもう一つ発覚した。 それは、相田さんの転勤先が、隣町だった事だ。 「じゃあ、『アニバーサリー』は…」 既に店を継ぐつもりでいた有理さんは慌てた。 「大丈夫。店長は任せるから。ただし、私もパートで雇ってね。非常勤でいいから」 「めちゃめちゃ気をつかうじゃん、それ…」 頭を抱える有理さんを見て、愛理さんは『チェック入れるからね』と更にプレッシャーをかけた。 (有理さんには悪いけど…) 私は、愛理さんがいなくならなくてホッとしていた。 それは、商店街の皆も同じ気持ちだった。 何より、愛理さんが一番ホッとしているように見えた。 そして、パーティーは、二次会とは思えないほど盛り上がった。 前へ |次へ |
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