《MUMEI》
シューズクラブの存在理由
(それにしても、よく間に合ったよな…)


正直、あのイベントラッシュの中、今日が迎えられたのが、信じられない。


これは


商店街の皆はもちろん


父と華江さんの力が大きい。


そして、意外にも、山田家の人々がかなり手伝ってくれた。


(まぁ、光二おじさんはどこにいるかわからないけど…)


苦笑した時。


コンコンッ


部屋をノックする音がした。


「どうぞ」


私は、相手が誰かはわかっていた。


「失礼します」


かしこまった口調に、つい笑いたくなったが、我慢した。


せっかくのメイクが崩れたら大変だから。


「綺麗だ」


ひざまずきながら私を見つめるその顔を見つめながら、私はその人物の名前を口にした。


「俊彦。…も、かっこいいよ」


ーと。


今日は、三月三十日。


ようやく迎えた私と俊彦の結婚式。


私は、皆に頼み込んで二人きりにしてもらった控室で、約束通り俊彦が選んだ


真っ白いウェディングドレスに似合う真っ白い靴を


俊彦に履かせてもらっていた。


「ねぇ、覚えてる?初めて会った時の事」


俊彦の言葉に、私は頷いた。

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