《MUMEI》 阿久津は、これまでにないくらいハンドボールに楽しみを覚えていた。 試合に出てるから? 得点を決めたから? どちらもあったかもしれない。 しかし、一番の理由は、 桜井が自分を認めてくれたからであった。 『頑張ったと決めるのは自分ではない。』 いつか先生がそんなことを言っていた。 先生? テストの結果は良くなかったかもしれません。 普段授業あんまり聞いてなかったかもしれません。 だけど、 必死で取り返そうと徹夜で勉強していた俺を知っていますか? それは頑張ったとは言いませんか? 失敗したら努力は無駄なものですか? あなたが、認めてくれないのであれば誰が認めてくれるのですか? 頑張った自分を認めるのは悪いことでしょうか? 「ポスト止めろ!!」 もはや桜井と阿久津のコンビは止まらない。 「ナイッシュー!!」 この日。 技術よりも、 能力よりも、 何より自信が足りなかった男の才能が、 開花した。 27対23。 聖龍高校、春休み最後の試合が終わった。 前へ |次へ |
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