《MUMEI》 頬を膨らませる私に、俊彦はとろけるような笑顔を向けた。 「参りましょう、お姫様」 「今日は、魔法使いじゃなくて、王子様だね」 私は深呼吸をしてから、俊彦の手を取った。 「一回お義父さんに渡すのが、残念だけど、ちゃんと、また来てね」 「行くよ。…俊彦こそ、ずっと側に…いてね」 そして、私達はその言葉通り いつまでも一緒にいた。 最初に生まれたのは壱子(いちこ) 亡くなった母からもらった名前の長女は 陰で『俊子』と囁かれるほど、俊彦によく似ていた。 次に生まれた一卵性の双子の信彦(のぶひこ)・康彦(やすひこ) この二人も、『俊彦二号・三号』と呼ばれるほど、俊彦似だった。 結局、私に似ているのは末娘の貴子(たかこ)だけで、…ものすごく、溺愛されたのは言うまでもない。 そして、壱子・信彦に加え、結子さんと雅彦の子供ー良彦・和馬と琴子の息子ー翔馬(しょうま)・孝太と麗子さんの息子ー孝哉(たかや) この五人が『シューズクラブ』の店員として、将来、働く事になる。 もちろん、商店街の皆の子供とも、仲がいいのは、それこそ、言うまでもない、事だ。 ー完ー 前へ |次へ |
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