《MUMEI》

銭湯に忘れ物をしたと途中抜けした。
満天の星空を眺めながら、待ちぼうけする。

湖は静か過ぎて怖いから数を数えながら待った。


「あ、流れ星!

願い事……三つ?!

七生の馬鹿が治りますよーに 七生の単細胞が治りますよーに 七生の……」

「なんだと……」

あ、本人に聞かれた。

「…………秘密が分かりますよーに」

口から最後の願い事が零れた。

七生と向かい合って話しをするのは緊張だ。

「二郎……実はお前にずっと言いたいことがあるんだけど絶対に今は言いたくないんだ。
……じゃあ、」

は、それだけ……?
待たせておきながら帰ろうとするし。

「待て、俺だっていっぱい言いたいことがある、今日は七生に喧嘩を吹っ掛けに来たんだ!」

言ってやった。

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