《MUMEI》

奈緒は17歳。海岸に程近い女子高に通っている。

茅ヶ崎の134号沿いは海に向かう車でここのところいつも渋滞だ。

奈緒はそれを横目に見ながら二年半全精力を注いだテニスの夏の最後の大会の帰り道。

海風にボーイッシュな髪が揺れている。

「あ〜ぁこれで部活も終わりかぁ〜」負けて涙が出たけど今はなんとなく脱力感だけが残ってる。

家に帰り冷蔵庫のオレンジジュースをパックごと飲み干すと疲れがどっと出てベッドに横になり夕方までグッスリ寝た。

夢をみた。なんかスラッした頼りない男子が出てきた。

奈緒は「なんだ?今の夢は」と思うと同時に、台所で夕飯を作っていた母親の葉子に「私って男運ないのかな〜」と言った。

「なんで急にどうしたの?」

「だってさ、昔から女子校だし、部活ばっかで男の子と知り合う機会なかったし。ヒロなんかさバイト先でカレシ作っくては 別れて、また作ったり。メグなんか男なんて出会い系で楽勝なんて言って遊んでるしさ。なんか私だけあほくさ!でも女の子にはモテるんだけどね。後輩から先輩はかわいいなんてラブレター貰ったりさ。」

ひとしきり奈緒の言う事を聞いた母親はクスッと笑うと「まぁいいじゃない。奈緒にはきっともっと素敵な王子がそのうち現れるわよ」

夕飯を食べ終えてシャワーを浴びてベッドに横たわってると、ヒロからメール。

ヒロ「奈緒あした暇?」

奈緒「うん、ひまひま、なんで?」

ヒロ「合コンの代打よろしく!」

奈緒「ハ〜ッ?どういう事?」

ヒロ「有子が好きな男と結ばれちゃったから義理だてしてこれないんだとさ!だからお願い!」

だって着て行く服ないし、なんか不自然な出会いだな〜って奥手な奈緒は思った。

奈緒「だってヒロだってミチだって理香だってみんな彼氏いるのにどうしてよ」

ヒロ「だって夏だよ!乙女の命は短いのさ!エンジョイしなきゃ!処女をもういい加減捨てなさい」

ちょっとムッとしたが

奈緒「だって着て行く服ないしさ〜」

煮え切らない奈緒にヒロからTEL。

ヒロ「合コンったって、海岸でバ−ベキュ−だから奈緒自慢のテニスで鍛えた美脚を見せればイチコロだよ。ショ−パンとTシャツでいいじゃん!ネッお願い!来て!明日海岸11時集合!わかったね?必ず来てね!」

奈緒「う〜ん…ヒロたちの引き立て役か〜まぁ部活も終わったし、暇だから」ヒロの強引さに押し切られて奈緒は渋々行く事にした。

ヒロ「じゃ!明日ね!」



作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫