《MUMEI》

◆◇◆

 夜桜が名残惜しそうに撫でてくるのをくすぐったく思いつつ、狐叉は言葉を探していた。

「‥‥‥‥すまんな」

「‥‥?」

「いや、何だか自分が‥腑甲斐無いと思ってな」

 すると夜桜が苦笑した。

「お前は私の相棒だろう?」

「‥‥ああ」

 狐叉もつられて苦笑する。

「そうだったな」

 そう言うと狐叉は、降り掛かる雪を払うように、ぶるん、と体を震わせた。

◆◇◆

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