《MUMEI》

「コーチの黒田小太郎です。」


「あ、今日から顧問をやらせて頂く安本です。よろしく。」





え?


それだけ?


選手たちに挨拶とかないわけ?


「あ、よろしくで〜す。」


なんだかな…。


「あの、何か練習の指示とかありますか?」


「あ、私からは特に…」


…特に?


もしかしてこいつ…?


「…じゃあボール鬼再開で。」


「は〜い。」


…何か微妙な空気になったな。


「ユキヒロ。」


「はい?」


「あの人もしかして素人?」


「…です。」


(マジかい…)


クロが心配していたのは、


試合のことである。


今まで顧問がいなかったから練習試合のセッティングはクロが行っていた。


さらに、公式戦の時に試合の指示を出す人間の存在である。


平日に公式戦がある場合、


学生であるクロが学校を休める保証はない。


そうなると、やはり顧問の存在が大きい。


(この人やる気あんのかな…?)


不安が過る。


その不安は、選手たちも覚えたもので、


そして、


クロや選手たちの予想通り…


安本にやる気はなかった。

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