《MUMEI》
二十四夜 待ち焦がれけるは
◆◇◆

「‥‥‥送って来たのか」

「ああ」

 幾らか明るい声音で、夜桜は答えた。

 彩貴は思いの外驚いたが、それ以上は何も言わなかった。

 夜桜は雪兎達が眠り込んでいるのを暫し見つめ、空を見上げた。

(桜の舞う頃‥‥‥か)

 それまで待っていよう。

 そう心に決め、夜桜は暫し緩やかな風に身を任せていた。

◆◇◆

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