《MUMEI》
普通じゃない関係
俺の態度に安心した屋代さんは気さくに話しかけてきた。


俺も、それに対し、普通の対応をした。


「じゃあ、朝飯食べたら、菓子折持って行きますから」


「何度も悪いね」


「いえ」


俺と屋代さんは、それぞれのドアを開け、部屋に入った。


(冗談じゃないぞ…)


俺は、右隣の住人と、昨日一緒にいた男の普通じゃない関係に、驚いていた。


まず、うっかり忘れていたが、男同士でヤッてるあたりで普通じゃない。


だから、屋代さんが昨日泊まった男を親友と俺に説明するのは理解できた。


問題は、相手の男だ。


(常識あると思ったのにな〜)


声を抑えようと必死な感じがしたし。


相手の男の名前は、慎(しん)。


既婚者で、子持ち。


それだけでも驚きなのに


(よりによって、先輩かよ)

慎…さんの子供は、俺が来月から通う高校に通っているらしい。


その上、珍しい男女の双子。


(関わりたくないな…)


心底そう思った。


そして、俺は冷蔵庫の中からゼリータイプの栄養補助食品を取り出して、一気に飲んだ。


それから、歯を磨いて菓子折を持ち、重い気持ちで隣に向かった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫