《MUMEI》
女帝の死
 時は、19世紀。私は生まれた。 
 
私はトリニータ王国第一王女。ルイ・ハユー!!只今16歳。

親しき者はハユと呼ぶわね。



 トリニータは代々女帝国家だ。母上はもうダメらしい。医者は何もしようとしない。 

 私にはわかる。母上は毒を盛られたのだと。あんなに元気で勇ましかったんだ。
毎日、少量飲まされていたんだろう。尋常じゃない顔色。いつ死んでもおかしくないとさえ思える。 

 そんな母上を毎日見やるのはとても辛い。わかっていても何もできない自分が憎い。 

 だから、私は苦しくなると小高い丘の上にでかけた。それが、私が王女である事を忘れさせる唯一の事だった。


 母上の容態がなお一層悪くなった頃。また私はこの丘にきていた。そして、一人の若い青年が私に近づいてくる。私は王女モードにすぐ様切り替える。 

 「セシル。ここには来るなと言っておるであろう?何しに来た?」 

 セシルと呼ばれたその青年は深々と一礼をした。そして、そのまま頭を上げず、こう言った。 

 「お母上様お亡くなりになりました」

そして私は、立っていることができず、その場に倒れこんだのだった。

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