《MUMEI》
報告メール
『…というわけで、今日の俺は自他共に認める普通だったぞ!』


(よし、送信…っと)


いつもは面倒に感じる忍への報告メールも、今日は何だか嬉しかった。


(この際、あの二人が普通じゃないのは別にいいや)

重要なのは、自分が普通だという事だった。


(お、来た来た)


忍からのメールを、早速開く。


『油断するな。明日の合格発表で隙を見せるな』


(わかってるよ)


明日は一人で高校の合格発表を見に行く事になっていた。


『バイトは決めたか?』


『決めたよ、コンビニに。来週、面接行く』


普通、一人暮らしの高校生は、金が欲しい、…らしい。


だから、俺は、普通の高校生はどこで金を稼ぐか調べて、アパートの近くのコンビニでバイトをする事になっていた。


(部活断る理由にもなるしな)


高校の部活の勧誘はかなりしつこいと、屋代さんと仲村さんが言っていたし、丁度良かった。


『ならいい。油断するなよ』


忍のメールはいつも同じ言葉で終わる。


『わかってるよ』


俺も、いつも同じメールを返して終わりにする。


そして、俺は片付いた部屋で眠りについた。

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