《MUMEI》

その不自然なまでに大量の林檎に、ドラミは首を傾げる……。



「ドラミちゃんも、一つ食べて……」


そう言ってしずかは林檎を一つドラミに差し出した。



「――…ありがとう…。」


しずかの優しさは、ドラミの悲しみをときほぐすような気遣いのように取れるが――…



疑心暗鬼に陥っているドラミには、あれこれ詮索されるのを嫌った“はぐらかし”のようにも思えた――…。



親しい間柄のしずかに対しても、疑念の眼を向けざるを得ない自らに嫌悪感を抱きつつ、ドラミはシャクリと林檎をかじった…。

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