《MUMEI》 積もる結晶苦しい。 同じ空間に国雄がいる。 眞知子には体調不良を訴えて代わりに出させる。 「昭一郎さん、大丈夫?」 心配するほどのものでは無い。 遮光カーテンを閉め、耳を塞ぎ、天井を見て過ごした。 午後11時、カーテンを開けた。 夢か 現か そこには国雄が一人 煙草を吸っている。 片手にはいつものセブンスター。 息か、煙か、曖昧なものが宙に溶けてゆく。 国雄が居るそこだけ刳り貫かれたみたいに明々と見えた。 彼は、美しい。 現実か夢かと問い掛ければ夢だと思う。 何故なら彼が俺に優しく笑いけたからだ。 前へ |次へ |
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