《MUMEI》
夏海の誕生日
それ、以来のクリスマス嫌いになった、小さな夏海。
 年が明け、こたつでまるくなる、夏海。
正月のお年玉は、合計しても二万あるかないか。  毎年、母に預ける。   将来のためだと、母は言うが、夏海には将来が、まったく、わからない。   使い道も、特にないので、貯金をするだけだ。
〈貯金するとか、言って、お母さん、使ってるじゃないの?私のお年玉〉
秘かに、そう、勝手に思っていた。
冬休みも、終えて、次なる行事は豆まき。     と、その前に、夏海の誕生日。
母も父も、仲良しの、由佳も千明も、誰かれも、忘れているかのように、夏海の誕生日を、口にしなかった。それは、いやな思い出のある、トラウマクリスマスを乗り切り、寒い正月を乗り切り、やっと、楽しみな、誕生日を!と、思う、夏海には少し耐え難かったのである。忘れてるのかと、不安がよぎる。

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