《MUMEI》 ため息〜麗羅視点〜 さっきの真星の切なそうな顔が頭に焼き付いて離れない。 さっきの言葉・・・・・自分に言い聞かせているようにも聞こえた。 "今すぐには無理かもしれないけど、きっと分かる日が来る! 分かってくれる日が来るよ・・・" もしかして・・・ 「麗羅?どうしたの難しい顔して・・・」 真星がピョコンと私の顔をのぞき込んでいる。 「えっ?あっ何でもないよ!」 私は驚きながらも、これ以上心配をかけないようにそう伝えた。 「それならいいんだけど・・・・・教室戻れる?」 歩とあんなことがあったから気を使ってくれているのだろう。 「大丈夫だよ。そろそろ授業始まっちゃうね」 私は真星に微笑み、歩きだそうとした。 「麗羅!こっち」 えっ?と立ち止まり辺りを見渡してみると 目の前には階段がある。 先程黙々と歩いていた時に教室を通り越し、さっき居たのと反対側にある踊り場まで来ていたようだ。 「麗羅って実はそそっかしいんだね」 真星が笑いを零すと、1限目の始まりを知らせる鐘が鳴り響く。 「わっ!急がないと」 真星の声に頷き、小走りで教室に向かう。 教室の前で深呼吸し、ドアを開け入ると歩と目が合う。 私は、パッと目をそらしてしまった。 もう一度歩の方を見ると目に入ったのは、歩の切なそうな横顔だった。 自分の席につき、無意識にため息が漏れる。 前へ |次へ |
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