《MUMEI》
三人の誕生日
1月10日。それが夏海の誕生日。
110番の日。警察とは 関係ないけれど。
何故、両親が誕生日を口にしなかったのか、10日、当日に理解した。    「なっちゃん!今夜パーティーよ。誕生日パーティーやるわよ。由佳ちゃんのおうちでね!もちろん、千明ちゃんちもくるわ!」  本人に内緒で、三家庭は夏海の誕生日パーティーの準備を着々とすすめていたのだ。
2月には由佳、3月には千明の誕生日もくるので、ついでにやる、って、ことも、伝えられた。
題して
『夏海の誕生日パーティーと、ついでに実施、由佳、千明の誕生日パーティー』ついでって事は、由佳にも千明にも、多少気にはいらないが。中学にむけて、多忙になるだろうって、三家庭が決めたらしい。   中学になったらバラバラになってしまう予感がよぎる。
由佳と千明は、そんな、親の計画をやはり、知らなかったので、二人は二人で、内緒で、夏海の誕生日を祝おうと、お年玉を出しあい、プレゼントを買ってあったのだ。だから、両親も由佳も千明も、夏海の誕生日は口にしないで、顔は我慢して、内心、にやけていたのだ。
『夏海の誕生日パーティーと、ついでに実施、由佳、千明の誕生日パーティー』は、無事に執り行えて、楽しい時間をもつことが出来た。
三家族が集まり、賑やかな時間を、過ごすのは、これが最後になるとは、誰一人思わなかった。     「また、やりましょうね」全員、そう言って、帰宅した。
節分にひな祭り。    平凡に過ぎ、新たな旅立ち、三人は中学に入学した。

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