《MUMEI》

開会式が行われる。


クロたちは観客席からその様子を見ている。


「開会式を観客席から見るのは初めてですね。」


「そうだね。」


「広い体育館のせいか、随分少なく見えますね。」


「ま、市民体はこんなもんだろ。」


市民体は、高総体とは違い参加チームが少ない。


特定の地域の高校の大会だからだ。


高校生男子の部は12チーム。


1開戦を勝ち抜けば8強の仲間入りだ。


ちなみに、


女子の部に至っては10チームしかなく、参加チームの8割が8強というなんとも悲しい状況であった。


「学校は大丈夫なのか?」


安本がクロに尋ねる。


「余裕っす。自分成績いいんで。」


学生時代必死に勉強していた安本は、


クロに殺意を覚えた。


(…視線を感じる。)


初めは安本かと思ったが、


別の方からだ。


向こう側の観客席から、


西条高校顧問の星野が見ていた。


(あぁ、あの人か。)


残念、うちと当たるには決勝しかない組み合わせでしたね。


僕たちが勝ち上がったとしても、


あんたたちじゃ無理でしょ。


「終わりましたよ。」


「ん?」


開会式が終わり、いよいよ試合だ。


赤城北高校は、第二試合。

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