《MUMEI》
忠誠の果てに…
 私はその光景をただ見つめることしかできなかった。 
 なんと私は無力だろう?
 きっとあの偽者に女帝の座を取って代わられてしまうのだろう。 

 腑甲斐ない。母上も守れず、国の行く末まで守れないとは。 

 まったくの役たたずの自分に笑えてくる。



 ドアをちらりとみる。開かないことぐらいわかっている。 

 いつもなら、頭で考えただけで私ならば行動しない。 

 だが、希望は捨てられない。私はベッドから這い出し、ドアのノブに手を掛けた。 

 やはり、開かない。天井を見上げる。抜けられるようなところはない。

 残るはあの窓か。だが、ロープがない。シーツでは破れてしまう。 

 行動する前に結果がすぐに出る自分が腹立たしい。考えて潰しての繰り返しだ。

ここは何階なのだろう…? 


『コンコン』
その時、誰かがドアをノックした。

鍵をあけている音が静かに響いている。 

このまま普通に開けてしまっていいものか? 

敵の可能性は多いにある。

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