《MUMEI》

「……携帯落ちてる。」

足元にぶつかった。
電源が切られている。

「もう必要無いから大丈夫」

「なあ、暇潰しに是清の今の話聞かせてくれよ。
そうだな,例えばどうしてこの広いマンションに一人で引っ越してきたかとか。」

「暇潰しかよ。」

冷蔵庫に食品をしまい込み、是清は渋い顔をする。

「……なあ?」

肩に手を掛け、指を首から顎に伝う。

「乙矢のそれ、何?」

指を見られた。

「何、って?」

「慣れてるから。」

俺を知らないはずなのに追い詰めてゆく。
そんな俺を横目に是清は着々と晩御飯の仕度を始める。

手際が良い。
趣味なのだろうか。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫