《MUMEI》
爆弾発言
生徒会長の歓迎の言葉も、校長の祝の言葉も、新入生代表のこれからの抱負を述べる言葉も普通だった。


ただ、『南のクイーン』は

津田 志貴(つだ しき)という、男のような名前の女は

その美貌と圧倒的存在感を、新入生に、教師に、在校生に見せ付けた。


(こんなのと、三年間も同じクラスかよ)


クラス替えの無い吾妻高校のシステムが憎らしく思えた。


(しかも…)


俺は、田中。クイーンは、津田。


『た』と『つ』。


…嫌な予感がした。


「よろしくね」


「よろしく、…お願いします…」


教室に着席した途端、嫌な予感は的中した。


俺は、クイーン…津田さんの隣の席になってしまった。


(あぁ、視線が痛い…)


その大半が『何であんな奴が』的な視線だとはすぐにわかったが…


(ん?…)


ありえない方向からも視線を感じた。


ものすごい、露骨な熱い視線。


(な、何でだ!?)


俺に、誰よりも熱い視線を浴びせているのは、隣の津田さんだった。


(お、俺、普通だよな!?)

制服の着方も、髪型も…
地味で大人しい感じにしているはずだ。


「君、いい身体してるのね」

津田さんの爆弾発言に俺は…

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