《MUMEI》
夏海の母妄想?!
小学校の卒業式は、あまり、涙も出なかった。まわりをみても、泣いている六年生はほとんどいなかった。親も同じだった。    いまどきの子に
いまどきの親。 なのかもしれない。

真新しい制服をきて、堂々と中学入学。
制服をまとっただけで、なぜだろう、大きくみえるのは。
「つい最近、生まれたばかりで、私のおっぱいをすっていたのに、もう、中学生なんて……」
夏海の母はつぶやく。
親にとっては、いつまでも、かわいい、小さな子供なのだ。しかし、子供が男の子なら、少し違和感がある。娘なら高校生になろうと、二十歳を迎えようと、結婚しようと、〈小さな子供〉と、いう、感覚で仲良く接しても、
「あら、仲の良い、母娘ねー」
で、済むのだが。    息子なら、ただ、気持ち悪い親子になる。息子が拒否していれば、まあ、多少は、みていられる、親子だが。
母親が
「うちの、息子は、いつまでも、かわいいわ」
なんて、言うならば、最悪。そんな、息子が結婚してまでも、親との一定の距離を保つなら、〈この場合、すごい、近い距離〉マザコンだろう。ただただ、キモイ!
同じ我が子でも、息子と娘に対しては態度をあらためないと、だめな、世の中である。
父と娘の関係はどうであろう?たとえ、ファザコンでも
「あら、仲の良い、父娘ねー」
で、終わるし、娘はあまり、父にはベタベタしないから、父と娘の関係はいい感じになる。父と息子も男同士の関係になるから、かっこがいい。
なんて、事を、夏海の母は、ふと、思うのだった。

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