《MUMEI》

「――…いぇ……何でも無いんです…。

…ちょっと考え事をしてて……。」


ドラミは、しずかの(罠かもしれない)優しさに甘えたくなる衝動を必死で振り払った。



「…そう…………。

…なら、いいんだけど……。」


しずかが微笑み返すと、二人の前を秋風に舞う落ち葉が流れてゆく…。



会話が途切れた長い沈黙の後――…


「何か悩み事があるなら、遠慮なく言ってね…(笑)

…私にできることがあれば何でもするわよ…(笑)」


しずかはドラミの消沈した心を揺り動かすように、努めて明るく声をかけた。



「――…はぃ……。」


ドラミは心中に抱いた疑念を包み隠すように、小さな声で応えた。

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