《MUMEI》
高山似の男
ジャー


カチャッ


「随分早いんだな」


!?


個室から出てきた俺に、話しかけてきた男は…


やっぱり、どう見ても高山に似ていた。


(もしかして、こいつ、本当に、高山のいとこか?)


こんな奴に会う為に、津田さんは自分のレベルを下げたのか?


「一年生のくせに、サボりか?」


「…ちゃんと先生に言ってから来ました」


男子トイレの個室でヤッていた男に説教されたくはなかった。


いつの間にか、相手の男は消えていて、俺は今、高山似の男と二人きりだった。

(早く戻ろう)


俺は、手を洗い、男の横を通り過ぎようとした。


見た目からいって、こいつはおそらくヤル方ではなく、ヤラれる方だが、これ以上普通じゃない奴には関わりたくなかった。


「お前、変わってるよな」

「はぁ!?」


(お前にだけは言われたくないぞ)


俺は思わず足を止めた。


「普通は、悲鳴を上げて逃げ出すぞ。
しかも、入るかよ、普通」

男が個室を指差した。


(あんたが譲ったんだろうが)


「すみません、…腹、痛かったんで」


「その割に、出てくるの早かったな」


(…なんなんだ、一体?)


「俺、教室戻ります」

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