《MUMEI》

颯爽と馬を乗り熟す誉は確かに恰好良い。


「惚れ直したかい。
律郎君、どうだい君も。」

あまりに誉が愉しそうに乗るのでつい、林太郎は乗馬に参加してしまった。
一つ気に入らないものを上げるとしたら誉が林太郎の横にぴったりと付いて手解きして呉れたことである。

「君は筋が良いな。もう一人で手綱を引けるんじゃないか。」

誉から太鼓判を押され、一人で簡単に其の辺りを走る。

不意に眩しい光が目にぶつかる。
馬が嘶いた。



突然、馬が暴れ出したのである。

「……っ。」

振り落とされないように、林太郎は必死にしがみついた。





一瞬、失速した。
林太郎以外の手綱を握る者がいた。
暴走した馬を上手く落ち着かせながら、ゆったりとした歩行に変える。

見事な手際の良さである。

「大丈夫かい律郎君」

誉が駆け寄る。
林太郎を助けたのは木乃伊男だった。

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