《MUMEI》
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―起きなさい―
エコーのかかったパパの声。
アタシの好きな柔らかくて
とっても暖かい低い声。
その声で起こされたのが嬉しくて、
アタシは薄い瞼をゆっくりと開けてあげる。

「おはよう、寝坊助さん? 」

パパはもう32歳になるのに、
悪戯っ子みたいに笑う。
その声と同じ位、アタシが大好きな八重歯(綺麗に尖ってて可愛いのね)を見せながら。

「おはよう、パパ」

お礼にアタシも、(パパ曰く)"ママ譲りの夏の太陽みたいな、きらきらの笑顔"で、お返事してあげる。
アタシが笑うと、パパはいっつも眩しそうな顔で微笑んでから、ぎゅーってしてくれる。
アタシはパパのこのぎゅーっも大好き。
胸一杯に広がる、香水と煙草の混ざった匂い。
いつもの、パパの匂い。

「さ、朝御飯が出来てるよ。降りておいで」

髪を軽く整えてから、階段を降りてリビングに出る。
美味しそうなベーコンの匂いと、夏の朝の甘ーい匂いが混ざって
アタシの胸はワクワクしてくる。
仏壇のママにおはようの挨拶をしてから、アタシを待ちわびてるであろう、パパと夏休みの所に急ぎ足でアタシは向かう―

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