《MUMEI》
中学卒業
恋愛だの、告白だの、縁がないまま、部活中心、勉強中心の3年間がすぎていった。
「もう、部活も引退だね、受験だよね、どうする?高校。」
最近は会うと、決まって進学の話題に。
三人は同じ小学校で中学も同じで、高校も同じだと、考えていたが、こればかりは、そうもいかない。
神様はわかってたのだろうか?だから、同じ中学でも、クラスは三年間バラバラで、部活もバラバラで。 神様は、少しずつ、三人を離すために、そう、仕組んだのだろうか。
最後の最後の面談で、三人は進む道を、決断した。
夏海は、普通の県立高校に。特に希望がないし、将来の夢もないので。普通高校しか、浮かばなかった。やりたいことがあれば、その道を進むのだけど。
由佳は、大学進学を高校卒業後、考えていたので、エスカレーター式の私立の高校へ進学希望した。
千明は、家業を、もしかしたら、継ぐかもしれないと、商業高校へ。
また、三人は別々に。  きっと、中学でそうだったように、新しい友人にそれぞれの場所で、出会うだろう。沢山の友達が出来るだろう。
不安もあるけど、胸をはって、義務教育を卒業した。明日からは今までと違う世界。バイトをして、お金がもらえる、世界。自分の足で歩かなければならない、中途半端な世界。二十歳まではこの、中途半端な世界で生きていくのだ。

三人の両親も、卒業式には涙した。小学校の時には感じえなかった、感動があった。ただ、成長したなって感覚ではなく、親自身も、ここまで育てられた、満足にも似た感情だ。    もしかしたら、親は、自分に泣いているのかもしれない、自分に頑張ったねって。義務教育おわったから、多少手抜きでも、大丈夫だよって。
夏海、由佳、千明の親がみんな、そう、思い泣いているのかは、誰もわからないけれど。

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