《MUMEI》 ◆◇◆ ふと気配がし、狐叉は首を擡げた。 「まだ起きていたのか」 そう話しかけてきたのは彩貴だった。 以前程言葉に棘がなくなっている、と狐叉は思う。 少し前までなら、厄介払いは当たり前だったのだから。 「大丈夫なのか」 「?」 「こいつの為に‥無理を押して戻って来たのだろう」 「いや、無理をしているつもりは無いが」 苦笑混じりに狐叉は答えた。 眠りに就いて尚、自分を放そうとしない姫君。 愛しいと思わずにはいられない。 その穏やかな寝顔に、目を細める。 狐叉にとっては夜桜の安穏が何よりも嬉しいのだ。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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